= ハノン =

ここでは、『ハノン』についてどう学んでいくか...を私なりの解釈で進めたいと思います。

まず、私が主としてるハノンの目的は“正しい弾き方をしっかり身につけること”です。
・手があっちに向いたり、こっちに向いたりせず、常に前を向いた状態で弾いているか。
・手首を使い、反動で弾いていないか。
・音の粒が揃っているか。(fになったりpになったりしていないか。)

常に手が前を向いた状態で弾くこと

これは、ハノンを弾く時に限らずよくやることですが、5の指で弾く時、どうしても手が内側(ハの字)に向いてしまいます。
5の指は日常生活であまり使うことがなく、弱いので、手(腕)の力に頼ってしまうんでしょうね。
実際私も強いとは言えません...。
こうした弾き方をしているとなかなか指自体が強くなっていきませんし、“指で弾く”ということも覚えられません。安定した音も出ないでしょう。
ですが、「常に手が前を向いている状態で弾きましょう。」と言っても、なかなかできるものではありません。
そのため、私はレッスン法として、生徒達に和音で取らせるようにしています。
1番の場合ですと、・ミ・ファ・ソ・・ソ・ファ・ミ...と弾く時、ドの音とラの音の時にドとラの和音で取らせ、常に手を前に向かせるようにしています。
ドラ(和音)・ミ・ファ・ソ・ドラ(和音)・ソ・ファ・ミ...という感じです。
もちろん、単音での練習もさせませすが、先ほど和音で取った手の感覚をしっかりと思いだしながら弾くことが重要です。
調について学んだ生徒さんは、楽譜に書いてあるハ長調だけでなく、いろんな調で弾くのも良い勉強になります。
黒鍵を使うことで、さらに手がハの字にならないよう気をつけましょう。

手首を使い、反動で弾かない

これもまた、ついやってしまうことですが、あまり良い弾き方とは言えません。
ゆっくり弾いてる分には支障がないように思うかもしれませんが、テンポを上げようとしてもこの弾き方では限界があります。
小さな音でもいいから、手や腕を使わず、指でしっかり下まで弾くことです。
(かと言って、手や手首を全く動かさずに弾くということではないです。)
自分ではやってるつもりだけど、動いてしまう...なんていう時は、片手で練習して、もう一つの空いてる手で弾いてる方の手のひらをちょっと支えてあげましょう。
もちろん、支えてる手を一緒に下げては意味がないです。
そしてまた、その支えてた感覚を思い出しながら弾くことです。

音の粒を揃える

簡単なようで、とっても難しいことです。
これには、自分の音を“よく聴くこと”が重要になってきます。
5本ある指の中で、全てが同じ強さである人は少ないでしょう。
強い指もあれば、弱い指もある。それをどれだけ良く聴き、コントロールするか...。
先ほど述べた2つのことができるようになっていれば、この課題もだいぶできるようになってくることでしょう。

ちょっと余談ですが...。
まだ譜読みが思うようにできない生徒さんは、とりあえず(右手の場合)真中のドから始めます。
そして、1オクターブ上まで進み、元のドへ戻ってきます。
これなら、1番読みやすいところなので、さほど譜読みに苦労しないはずです。
これが慣れてきたら、楽譜通りに弾きましょう。

ハノンはつまらないと敬遠されがちですが、いろんな意味で基礎を学ぶのにとても良い教材だと思います。嫌がらないでね...。