= 暗譜 =

譜読みに得意・不得意があるように、暗譜にも得意・不得意があります。
私も学生の頃は、暗譜が不得意だなんて思ったことがなかったのですが、最近は苦労しています。歳のせい??

暗譜のタイプとして、視覚・感覚の2通りがあります。
・視覚で覚える・・・楽譜を頭の中にコピーする。
・感覚で覚える・・・何度も弾いて、手に覚えさせる。
どちらかと言うと、視覚で覚えた方が忘れにくいかもしれません。
“舞台上で頭が真っ白になる”なんていうのも、感覚で覚えた人の方が多いんじゃないでしょうか。
だからと言って感覚で覚えるタイプの人が視覚で覚えようとしても、なかなかできることではない。
私は感覚で覚えていくタイプなので、ここでは感覚での暗譜を中心に進めていきます。

左手のみ

緊張した場面で弾く時、高い確率で忘れる(間違える)のは左手ではないでしょうか。
メロディが多く出てくる右手は、知らず知らずのうちに覚えているけど、もう一方の左手は“なんとなく”弾いている事が多い。
なので、初めは右手のメロディを歌いながらでも良いから、左手のみを弾いてみます。
そのうち、右手のメロディを歌わなくても弾けるようにしましょう。
そうすることによって、左手のみの暗譜もでき、さらに左手のメロディも見えてくるはずです。

和音進行

曲の流れを和音で取ってみます。
その時の両手の響きだとか、和音の進行、どんな音を使った和音でできているか、などをわかっていると、もし忘れてしまったとしても、とりあえず変な音は出てこないと思います。

フレーズ

途中で忘れてしまった!!などの状態に陥った時、すぐに戻れる場所をいくつか確保しましょう。
初めからばかり暗譜(練習)していると、間違えた時また初めから弾くようになり、そして間違えた場所でまた間違える...なんていう最悪な事態になります。
小曲でも、3,4ヶ所は“復帰地点”を作っておくと良いでしょう。
それでもできない時は、1番小さなフレーズ(だいたい4小節が多いです。)ごとに暗譜しましょう。

声部・和音

何声かの声部でできている曲は、各声部ごとに暗譜するのも効果的です。
より確実に各声部の音を掴むことができる上、もし忘れてしまったとしてもその1声部だけでもつなぐことができます。
声部だけでなく、和音に関しても言えることです。
三和音なら上と下だけ、上と真ん中だけ...などで取り、全ての音を確実に覚えるようにしましょう。

楽譜を見る

一通り暗譜ができてしまうと楽譜を見て弾くことが少なくなりますが、週に1回でも良い。
楽譜をじっくりと見ながら弾く日を設けましょう。
これには、視覚による暗譜が大きく作用します。
もう覚えているので見なくても弾ける!!と思っていると、視覚での暗譜がうろ覚えになっていたりします。
その上、弾き続けていると途中で音が変わって、間違えた音を弾いていることもあります。